離婚の種類


離婚の方法としては5つあります。

 1 協議離婚
 2 調停離婚
 3 審判離婚

 4 和解離婚
 5 裁判離婚


ただし,3の審判離婚はほとんど行われていません。
ですから,協議離婚・調停離婚・和解離婚・和解離婚の4つの方法があるということになります。

 


協議離婚

協議離婚とは何か

夫婦どうしで話し合い(協議)をして,離婚をするということです。
日本では,協議離婚の方法で離婚をする夫婦がまだまだ多いです。
協議でものごとを決めるので,親権者・養育費・財産分与・慰謝料について,柔軟に決めることができます。
親権者以外のことは決めなくても離婚はできるのですが,できれば全部を決めたほうがよいとは思います。


書面をつくったほうがよいか

離婚するだけであれば,書面は作る必要はありません。
役所・役場に離婚届を提出するだけです。
ですが,お金や子どものことについて約束をしたのであれば,それを書面にしておいたほうがいいと思います。
合意の書面の内容がこれでいいかどうか確認したければ,ご相談下さい。


協議離婚でも弁護士を依頼する必要はあるか

「調停や裁判になるのは避けたいけれども,自分たちだけでは感情的になって協議できない」という人もいます。
あるいは,「DVを受けていて,相手とは話すことができない」ということもあります。
このようなときは,協議の段階から弁護士に依頼します。

そうでなくても,最初から弁護士に依頼することもよくあります。

公正証書について

養育費など,相手が最後まできちんと支払うかどうか心配だというときは公正証書を作るという方法があります。
「支払を怠ったときには,裁判をせずにいきなり強制執行をできる」という条項を付けておくと,
裁判を起こさずに給料を差し押さえるなどの強制執行ができるからです。
ただし,公正証書を作るためには,夫婦の両方がきちんと合意できていなければなりません。
合意がきちんとできていて,お互い公正証書を作ることに納得できていて初めて,作ることができます。
公正証書を作るためにかかる費用や具体的な手続はお近くの公証人役場にお尋ね下さい。
釧路ですと,「釧路公証人合同役場」というところで公正証書を作っています。



調停離婚

調停離婚とは何か

夫婦で離婚の協議ができなければ,家庭裁判所で離婚調停(夫婦関係調整調停)を行います。
調停のやり方はいろいろですが,相手と直接は顔を合わせず,調停委員に自分の主張などを伝えるのが一般的です。
ですから,間に第三者が入ることで,調停で話し合いがついて離婚できる場合があります。


調停はどこの裁判所で行うのか

離婚調停は,原則として,相手方(調停を起こされる側)の家庭裁判所で行わなければなりません(家事事件手続法245条1項)。
ですから,たとえば,別居して夫が札幌,妻が釧路に住んでいる場合,
 妻が夫に調停を起こすなら札幌家庭裁判所
 夫が妻に調停を起こすなら釧路家庭裁判所
となります。

遠方で調停が行われると,交通費などがかかりますので,「どこの裁判所で行うか」は,大切な問題です。
調停が遠方の裁判所で行われる場合,裁判所に近い弁護士に依頼した方がいいのか,自分が住んでいるところに近い弁護士に依頼したほうがいいのかを聞かれることがあります。
事案によりますが,自分の家に近い弁護士に依頼したほうがいいように思います。
打ち合わせを行うには,弁護士が近い場所にいたほうが便利だからです。
もちろん,この場合は,弁護士の裁判所までの交通費や宿泊費を負担しなければなりません。


調停で離婚が成立する場合

調停は「裁判所で行われる話し合い」ですので,柔軟な合意ができます。
とくに,住宅ローンがまだ残っている場合は,話し合いで柔軟な取り決めができるので,調停を成立させたほうがいいといえます。

離婚の合意が成立すれば,その合意を調停調書にします。
調停離婚はこの合意を確認することによって成立します。
この調書を役所・役場に提出するという仕事は残っていますが,離婚自体は調停で成立します。
私も離婚の成立に何度か立ち会っていますが,書面を読み上げるだけの拍子抜けしたものです。


調停調書について

弁護士を依頼せずに本人で調停をやっていると,調書を申請しない限り,裁判所が調書をくれないことがあります。

ですが,調停調書は必ずもらったほうがよいです。

調停調書でたとえば養育費の支払方法について取り決めをすれば,公正証書を作ったのと同じ効力があります。
ですから,相手が養育費を払わなかった場合,裁判を起こさなくても相手の給料を差し押さえるなどの強制執行をすることができます。


調停で離婚が成立しない場合

調停に相手が出席しないことがあります。
また,調停にはお互い出席するが,話し合いがまとまらないこともあります。
調停では,「どちらが正しいか」を裁判所が決めてくれるわけではありません。
話し合いができなかったり,まとまらないときには,調停は「不成立」ということになります。
3回くらい調停を行ってみて,離婚がまとまりそうにないときには,調停不成立とすることが多いです。
調停が不成立となった場合,それでも離婚をしたいと思えば,離婚訴訟を起こします。
そのために,「調停不成立証明書」をもらっておくと便利です。

 


裁判離婚・和解離婚

裁判離婚・和解離婚とは何か

離婚調停を行っても離婚の話し合いができなかったり,調停が成立しなかった場合,家庭裁判所に離婚訴訟(離婚裁判)を起こします。
この訴訟で判決となり,離婚が認められれば,「裁判離婚」が成立します。
もっとも,判決になる前に,離婚をすることで訴訟上の和解ができることもあります。

これを「和解離婚」といいます。

「和解」といっても復縁するわけではなく,離婚をするということで和解するわけです。


離婚原因

協議離婚・調停離婚・和解離婚は,お互いが(しぶしぶであっても)合意した上での離婚ですので,離婚の理由は何でもかまいません。
ですが,裁判離婚では,一方が「離婚はしたくない」と言っても,強制的に離婚をさせることができます。
ですから,裁判離婚の原因は,きちんと法律で決められています。

 

民法770条は,離婚の原因を以下のように定めています。
 1 配偶者に不貞があったとき
 2 配偶者から悪意で遺棄されたとき
 3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
 4 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき
 5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

「性格の不一致」は,それが原因で別居し,何年にもなったりすると,「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたることがあります。
別居しなくても離婚が認められることも,もちろんあります。

訴訟はどこの裁判所で行うのか

離婚訴訟は,自分の住所の家庭裁判所で行うことができます。
ですから,調停は相手の家庭裁判所に起こさなければならないのですが,調停が不成立となり,訴訟を起こすときには近くの裁判所で起こすことができます。


離婚訴訟をするのに弁護士に依頼したほうがよいか

離婚協議や離婚調停は弁護士に依頼せずにやる方がたくさんいますが,離婚訴訟はできれば弁護士に依頼したほうがいいとは思います。
弁護士費用は事務所によってまちまちですが,当事務所の場合はこのくらいです。