相続人と相続分


「誰が相続人となるのか」という問題と,「誰がどれだけ相続するのか」という問題を説明します。


誰が相続人となるのか

配偶者(夫から見た妻・妻から見た夫)は,必ず相続人となります。

この配偶者と,以下の順番で相続人になります。
1番の「子」がいなかったり全員相続放棄をすれば,2番の「直系尊属」が相続し,
2番の「直系尊属」がすでに亡くなっていなかったり全員相続放棄をすれば,3番の「兄弟姉妹」が相続します。

 1 子
 2 父母や祖父母などの直系尊属
 3 兄弟姉妹

原則は上のとおりですが,相続人が被相続人よりも先に亡くなった場合,
孫が相続人となったり,甥や姪が相続人となることもあります。
これを代襲相続といいます。


遺言がある場合の相続分

被相続人が遺言を作っている場合,その遺言に従って遺産を分けます。

ただし,相続人には最低限は受けられるべき遺留分というものがあります。
遺言がこの遺留分を侵害している場合には,遺留分減殺請求権を行使されることがあります。


遺言がない場合の相続分

遺言がない場合,民法が決めた割合に従って相続をすることになります。
これが「法定相続分」です。
日本の家族に関する法律は,戦後に大きく変わり,法定相続分は最初は以下のように決められました。
 直系卑属:配偶者=2:1
 直系尊属:配偶者=1:1
 兄弟姉妹:配偶者=1:1


さらに昭和56年1月1日からは,もっと多く配偶者に相続させようということで,以下のように決められました。
 子   :配偶者=1:1
 直系尊属:配偶者=1:2
 兄弟姉妹:配偶者=1:3


今では,「夫婦が結婚中に築いた財産は2分の1ずつ」というルールが浸透し,離婚の時にも2分の1の財産分与を主張するのが普通です。
ですが,以前は配偶者よりも子どものほうが相続分が多く定められていたのです。

いろいろな考え方はあると思いますが,配偶者の相続分をできるだけ多く考えるという方向性はよいのではないかと思います。